「CROで働くと、年収っていくらくらいなんだろう…?」
「CRAとCRC、結局どっちが稼げるのか気になる…!」
「今の仕事からCROに移って、年収は本当に上がるのかな?」
CROへの転職を考えると、まずこのようなお金の疑問が浮かびますよね。 結論からいうと、CROの年収は「どの会社か」よりも「どの職種か」で大きく変わります。 中心職種である臨床開発モニター(CRA)の年収目安は528.7万円(厚生労働省 職業情報提供サイト job tag )。 この数字を基準に置くと、相場観がぐっとつかみやすくなります。
製薬・治験に特化したファーマネクスト編集部が、公的データをもとに整理します。 具体的には次の4点を、公的統計で整理します。
CRA・CRC・MRの職種別の年収目安と、その差が生まれる理由
CROの年収に幅が出る「経験」と「内資・外資」の2つの軸
市場規模やCRA人数など、年収の背景にある業界動向
CROへの転職で年収を上げるために確認したい3つのポイント
読み終えるころには、自分の経歴でどのくらいの年収を狙えるのか、判断の物差しが手に入ります。
金額がバラバラで、本当の相場が分からないんです…!
そうよね。だから会社ではなく職種の公的データから見ていくの。
※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。
CROの年収は所属する職種で決まる(CRO=開発業務受託機関)
CROの年収を考えるときは、会社名ではなく「どの職種として働くか」から見るのが近道です。
CRO(開発業務受託機関、Contract Research Organization)は、日本CRO協会によると「医薬品等の臨床試験および製造販売後調査等の依頼および管理にかかわる業務」を製薬企業から受託する組織です(出典: 日本CRO協会「協会概要・組織図」 )。 ひとくちにCROといっても、社内には役割の異なる職種が並んでいます。
CRO社内に並ぶ主な職種は次のとおりです。
治験の進み具合をモニタリングする臨床開発モニター(CRA)
治験データを整えるデータマネジメント(DM)
集まったデータを処理する統計解析
医薬品の安全性情報を扱うファーマコビジランス(PV)
同じ会社に所属していても、担当する業務が違えば求められるスキルも市場相場も変わります。 そのため「CROの年収は◯◯万円」と会社単位でひとくくりにすると、実態からずれてしまいます。
年収を正しくつかむには、まず自分が就く職種を決め、その職種の公的な年収目安を確認するのが確実です。 この記事では、CROの中心職種であるCRAを軸に、治験コーディネーター(CRC)やMR(医薬情報担当者)と並べて相場を整理していきます。
「CROの年収」って、会社全体の平均で語られがちですよね…!
ええ。でもそれだと粒度がバラバラになるの。職種でそろえて比べる、これが鉄則よ。
臨床開発モニター(CRA)の年収目安は528.7万円
CROの年収を語るうえで基準になるのが、中心職種である臨床開発モニター(CRA)の年収目安528.7万円です。
臨床開発モニター(CRA)が実際にどのような仕事をするのかは、以下の厚生労働省の動画でも解説されています。
VIDEO
この528.7万円って、どこまで信じていい数字なんでしょうか…!?
厚生労働省の職業情報サイトの数字よ。データは嘘をつかないわ。中身を分解して見せてあげる。
CRAの年収528.7万円は平均年齢44歳・求人賃金月19.9万円が目安
臨床開発モニター(CRA)の年収目安は528.7万円で、これは公的統計に基づく全国値です。 厚生労働省の職業情報提供サイト job tag「臨床開発モニター」を見ると、CRAの年収まわりの数値は以下のように整理できます。
年収(全国)528.7万円
平均年齢44歳
月間労働時間155時間
求人賃金(月額・全国)19.9万円
有効求人倍率(全国)1.61
ここで注目したいのが、求人賃金の月額19.9万円と年収528.7万円のギャップです。 求人賃金は求人票に出る入り口の水準で、単純に12か月分にしても年収の目安には届きません。 在職者を含めた年収目安は528.7万円まで上がっています。
この差は、CRAが未経験で入ってから経験を積むにつれて年収が伸びていく職種であることと重なります。 平均年齢が44歳と比較的高めなのも、経験の蓄積が評価される構造とつながっています(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「臨床開発モニター」 )。
「CROの年収」を臨床開発モニターの統計で見る理由
CROの年収を知りたいとき、臨床開発モニター(CRA)の統計を基準にするのには明確な理由があります。
CROの業界団体である日本CRO協会が公表しているのは、総売上高・総従業員数・CRA人数といった業界規模のデータです。 一方で、職種別の平均賃金額は公表されていません。
つまり「CRO協会のデータからCROの年収はいくら」と直接読み取ることはできない仕組みです。 そこで役立つのが、厚生労働省の job tag「臨床開発モニター」です。 CRAはCROに所属する中心職種であり、日本CRO協会の集計でも協会所属のCRAは数千人規模を占めます。
このCROを代表する職種の年収目安528.7万円を土台に置けば、「CROの年収」の中心的な相場観を公的データで語れます。 求人アグリゲーターの推定年収ではなく、官公庁の統計で裏を取れるのが、この見方の強みです(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「臨床開発モニター」 。以下、同出典)。
協会のデータに給料が載っていないなら、職種の統計で見るしかないんですね…!
そういうこと。ないものを推測で埋めない。あるデータで正確に語る、それだけよ。
CROに関わる職種別の年収ランキング(CRA・CRC・MR)
CROの年収は、隣接する職種と並べると相場の上下がはっきり見えてきます。 治験に関わる代表的な3職種の年収目安を、公的統計で比べると以下のとおりです。
職種 年収目安 平均年齢 有効求人倍率 MR(医薬情報担当者) 660.7万円 42.4歳 1.07 臨床開発モニター(CRA) 528.7万円 44歳 1.61 治験コーディネーター(CRC) 454.2万円 37.6歳 1.97
(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag 各職種ページ)
上から製薬企業側のMR、CRO側のCRA、SMO(治験施設支援機関)側のCRCという並びになります。 所属する組織の立ち位置によって、年収の水準が段階的に変わっているのがわかります。
こうして並ぶと、MRが頭ひとつ抜けているのが分かりやすいです…!
ええ。ただし年収だけで職種を選ぶのは早計よ。倍率や年齢もセットで見るの。
治験コーディネーター(CRC)の年収454.2万円はCRAより約74万円低い
治験コーディネーター(CRC)の年収目安は454.2万円で、CRAより約74万円低い水準です。 CRAとCRCの主な指標を並べると、差の出どころがはっきりします。
年収 CRA 528.7万円/CRC 454.2万円
平均年齢 CRA 44歳/CRC 37.6歳
求人賃金(月額)CRA 19.9万円/CRC 24.8万円
有効求人倍率 CRA 1.61/CRC 1.97
CRAの528.7万円からCRCの454.2万円を引いた差は74.5万円です。 この差は職種の立ち位置の違いから生まれます。
CRCはSMO(治験施設支援機関)や医療機関に所属し、治験を行う施設で被験者対応や医療機関との調整を担う仕事です。 一方のCRAはCROや製薬企業に所属し、複数の医療機関を訪問して治験の進み具合をモニタリングします。
注目したいのは平均年齢です。 CRCは37.6歳とCRAの44歳より若く、有効求人倍率も1.97とCRAより高くなっています。 年収は一段低いものの、より若い段階から就きやすく、求人の数も多い職種だと見えてきます(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「治験コーディネーター」 )。
MR(医薬情報担当者)の年収660.7万円はCRO職種より高い
MR(医薬情報担当者)の年収目安は660.7万円で、CROやSMOの職種より一段高い水準です。 厚生労働省の job tag「医薬情報担当者(MR)」による数値は以下のとおりです。
年収 660.7万円
平均年齢 42.4歳
求人賃金(月額)26.4万円
有効求人倍率 1.07
CRAの528.7万円と比べると130万円以上高く、この記事で扱う職種のなかでは最も高い年収目安になります。 MRは製薬企業に所属し、医薬品の情報を医療機関に提供する職種です。
年収の高さだけを見ると魅力的ですが、有効求人倍率は1.07と、CRAの1.61やCRCの1.97より低くなっています。 求人1件あたりの応募が集まりやすく、入り口の間口はやや狭めです。
さらに市場全体では、MRの人数は縮小傾向にあります。 MR認定センターの2025年版MR白書では、2024年度のMR数は43,646名で、前年度からの減少が続いています(出典: MR認定センター「2025年版MR白書」 )。
高い年収目安の一方で、採用の総量は絞られつつある職種です。 相場観の上限として押さえておくと役立ちます。
CROの年収は経験・役職と内資外資で幅がある
CROの年収は職種で中心値が決まりますが、そこからさらに「経験」と「内資・外資」で上下に幅が出ます。
公的統計が示すのはあくまで全国の目安値です。 実際の年収は、どれだけ経験を積んだか、どのようなCROに所属するかで動きます。
同じCRAでも、人によって年収がかなり違うと聞きました…!
そうよ。平均はスタート地点じゃない。どう積み上げるかで景色が変わるの。
CRAの年収は未経験入社から経験を積むほど上がる傾向
CRAの年収は、未経験で入社したあとに経験を積むほど上がっていきます。
job tag「臨床開発モニター」の2つの数値を並べると、その動きが確認できます。
求人賃金(月額・入り口の水準)19.9万円
在職者を含む年収目安 528.7万円
公的統計には経験年数別の内訳がないため、経験何年でいくら、と断定はできません。 それでも、入り口の月額水準と平均年収のあいだにこれだけ差があるなら、在職者の多くが入社後に年収を伸ばしているとうかがえます。 平均年齢も44歳と高めで、経験の蓄積が評価される構造とつながります。
CRAはモニタリングの実務経験や担当できる治験の幅、扱える疾患領域が広がるほど評価されやすい職種です。 未経験からのスタートでも経験が年収に反映されやすいと理解しておくと、キャリアの見通しが立てやすくなります(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「臨床開発モニター」 )。
内資系CROと外資系CRO(IQVIA等)で年収の考え方が異なる
CROは内資系と外資系で規模や体制が異なり、年収の考え方にも違いが出ます。
規模感の違いは、各社の公式データで確認できます。
項目 IQVIA(外資系) シミック(内資系) 従業員規模 グローバル約93,000名/日本法人5,517名 グループ全体7,761名 特徴 100か国超で事業展開 日本初のCROとして1992年に本格スタート
(出典: IQVIA公式「About Us」 ・「IQVIAジャパンについて」 /シミックグループ公式「会社概要」 。IQVIAの日本法人従業員数5,517名は2026年4月1日現在。シミックの7,761名はグループ全体の従業員数)
このような規模や体制の違いは、扱う治験の種類や働き方、評価の仕組みに影響します。 外資系はグローバル試験の比重が大きく、内資系は国内案件に強みを持つ、という特徴の差が出やすいです。
ただし、各社の具体的な年収額は公的な統計で裏取りできていないため、この記事では金額を断定しません。 所属先によって年収の伸び方や働き方の色が変わる、という点を押さえておくのが実用的です。
CROの年収を左右する業界動向は市場2,300億円・CRA7,101人
CROの年収は、業界全体の規模や人材の需給という背景にも支えられています。
CROへの開発委託が広がる背景は、以下の動画でも詳しく語られています。
VIDEO
日本CRO協会の年次業績報告によると、会員会社の総売上高は2,300.2億円、総従業員数は18,658人でした(2024年)。 そのうち協会所属のCRA(QC含む・臨床試験関連)は7,101人です(出典: 日本CRO協会「年次業績報告」 )。 売上のおよそ88%を医薬品業務が占めており、CROの中心が医薬品開発の受託であることが数字からもわかります。
製薬企業が自社だけで開発を完結させず、専門性の高いCROに業務を委託する流れは定着しています。 数千人規模のCRAが業界を支え、市場も2,000億円を超える水準にあることは、CRAという職種の需要が安定している裏付けです。 年収の目安528.7万円という数字も、このような市場の厚みの上に成り立っています。
数字だけ見ていましたが、市場そのものが大きいんですね…!
ええ。年収は職種の値段であると同時に、その市場の体力でもあるの。
CROへの転職で年収を上げるための3つの確認ポイント
CROへの転職で年収を上げられるかどうかは、次の3つのポイントを確認すると判断しやすくなります。
やみくもに応募する前に、公的データを物差しにして自分の状況を当てはめるのが近道です。 以下の3点を順にチェックしていきましょう。
相場は分かってきました。でも自分が上がるのかは、まだ不安で…!
不安の正体は情報不足よ。3つの物差しを当てれば、判断できるようになるわ。
現職の年収と職種別相場(CRA528万円等)を並べて比べる
最初のポイントは、今の年収と職種別の相場を同じ土俵に並べて比べることです。
比較するときは、粒度をそろえるのが大切です。 会社全体の平均年収と職種別の目安を混ぜて比べると、実態からずれてしまいます。 公的統計の職種別目安をそのまま物差しに使いましょう。
臨床開発モニター(CRA)528.7万円
治験コーディネーター(CRC)454.2万円
MR(医薬情報担当者)660.7万円
(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag 各職種ページ)
たとえば現職の年収がCRAの528.7万円を下回っているなら、CRAへの転職で年収が上がる余地があるとわかります。 逆にすでに相場を上回っているなら、年収以外の要素も含めて検討する判断材料になります。 まずは自分の今の年収を、この職種別相場の隣に置いてみることから始めましょう。
未経験可か経験者向けかを有効求人倍率1.61で見極める
2つ目のポイントは、狙う職種が未経験でも入りやすいのか、経験者向けなのかを見極めることです。
判断の手がかりになるのが有効求人倍率です。 job tag による3職種の有効求人倍率は以下のとおりです。
CRA 1.61
CRC 1.97
MR 1.07
倍率が高いほど求人1件あたりの求職者が少なく、相対的に就きやすい状況だと判断できます。 この数字を並べると、CRCやCRAはMRより倍率が高く、間口が広めだと分かります。
特にCRCは平均年齢37.6歳と若く、倍率も1.97と高いため、異職種からの入り口として現実的です。 CRAも求人賃金の月額19.9万円が入り口の水準で、未経験からの募集も一定数あります。 自分の経歴が未経験寄りなら倍率の高い職種を、経験を活かすなら年収目安の高い職種を、という形で狙いを定めると失敗が減ります(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag 各職種ページ)。
内資・外資やCRO規模で働き方と年収の伸びを比べる
3つ目のポイントは、内資系か外資系か、CROの規模はどうかで、働き方と年収の伸び方を比べることです。
同じCRAでも、所属先によって扱う治験や評価の仕組みは変わります。 規模による働き方の違いを整理すると、次のようになります。
規模の大きいCROはプロジェクトの数や種類が多く、経験を積める幅が広がりやすい
規模の小さいCROは特定領域に特化した強みや、幅広い業務を任される機会がある
外資系のIQVIAはグローバルで約93,000名という規模で、国際共同治験の比重が大きい体制です(出典: IQVIA公式「About Us」 )。 内資系のシミックはグループ従業員7,761名で、日本初のCROとして国内開発に厚みを持ちます(出典: シミックグループ公式「会社概要」 )。 年収の伸び方は、どのような治験に関わり、どんなスキルを身につけられるかと結びついています。 所属先の候補を、年収目安だけでなく働き方や成長機会の観点でも並べて比べると、納得のいく選択に近づきます。
会社の規模まで見るなんて、考えていませんでした…!
……悪くない気づきね。年収は結果。どこでどう伸ばすかが先なのよ。
よくある質問(CROの年収)
CROの年収についてよく寄せられる疑問を、公的データに沿って整理します。
未経験でCROに入ると年収はどれくらいですか?
公的統計に経験年数別の内訳はないため、具体的な金額は断定できません。
手がかりとして、CRAの求人賃金は月額19.9万円が入り口の水準で、有効求人倍率は1.61です(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「臨床開発モニター」 )。 この入り口から経験を積み、在職者の年収目安528.7万円へ近づいていく構造だと理解しておくとよいです。
まとめ:CROの年収は職種と経験で決まる
CROの年収は、会社名ではなく職種と経験で決まります。
以下は本文で見た職種別の目安の再掲です(出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag 各職種ページ)。
職種 年収目安 平均年齢 有効求人倍率 臨床開発モニター(CRA) 528.7万円 44歳 1.61 治験コーディネーター(CRC) 454.2万円 37.6歳 1.97 MR(医薬情報担当者) 660.7万円 42.4歳 1.07
中心職種である臨床開発モニター(CRA)の年収目安は528.7万円で、治験コーディネーター(CRC)は454.2万円、MR(医薬情報担当者)は660.7万円と、立ち位置によって水準が変わります。 そこに幅を生むのが、経験の積み重ねと、内資・外資やCRO規模の違い。 市場規模2,300億円、CRA7,101人という業界の厚みが、これらの相場を下支えしています。
自分の年収を職種別の相場と並べ、有効求人倍率で就きやすさを確かめ、所属先ごとの伸び方を比べる。 この3つの物差しを当てれば、CROへの転職で年収がどう動くかを、公的データに基づいて冷静に判断できます。 まずは今の年収を職種別の目安の隣に置くところから、キャリアの見通しを立ててみてください。