- 「Regulatory Affairs(RA)って、そもそもどういう意味なんだろう…?」
- 「求人で見る『RA』と『薬事』って、同じ職種なの…?」
求人票でRAという略語を見かけても意味がつかめず、自分に関係があるのか分からない。
そう感じている方は多いはずです。
結論からいうと、Regulatory Affairs(RA)は日本語の「薬事」と同じ職種を指し、医薬品などの規制に対応する業務のことです。
この記事は、製薬・治験業界のキャリア情報を公的データと整合させて発信するファーマネクスト運営事務局がまとめています。
この記事では、以下のポイントを解説します。
- RA(Regulatory Affairs)と「薬事」が同じ職種を指す理由
- 薬事が担う承認申請から審査対応までの仕事内容
- 申請薬事とCMC薬事という業務の分かれ方
- 治験・研究職から薬事を目指すキャリアパス
読み終えるころには、RA=薬事の全体像と、自分の経歴で目指せるかどうかの見取り図がつかめます。
先生、求人票の「RA(薬事)」って言葉、意味がふわっとしていて…! 自分に関係あるのかも分からないんです…!
あら、そこが出発点でいいのよ。この記事を読めば、RAが何を指して、どんな人が目指せるのかまで一度に分かるわ。
※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。
Regulatory Affairs(RA)は薬事を意味する規制対応業務
RAという言葉の正体を、公的機関の一次情報から確認していきます。
そもそもRAって、かっこいい略語なだけじゃないんですか…?
ふふ、見た目はね。中身は国の規制と向き合う、れっきとした専門業務よ。
RA(Regulatory Affairs)は「規制対応業務」を指す略称
RAは、Regulatory Affairs(レギュラトリーアフェアーズ)の略で、日本語では「規制対応業務」を意味します。
医薬品や医療機器は法律で厳しく規制されていて、国の審査を通らなければ世に出せません。
その規制当局とのやり取り全体を担うのがRAです。
規制当局側の業務は明確に定義されています。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)は承認審査業務として、医薬品などについて品目ごとに品質、有効性、安全性の審査を行っています(出典: PMDA「承認審査業務(申請・審査等)」)。
この審査を受ける企業側の窓口がRAです。
企業側にも薬事の枠組みがあります。
日本製薬工業協会(製薬協)には薬事委員会が置かれ、企業の薬事業務が組織的に整理されています(出典: 日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
つまりRAは求人サイト発の俗語ではなく、規制当局と企業の間に位置する正式な規制対応業務なのです。
日本語の「薬事」とRAは同じ職種を指す
英語のRAと日本語の「薬事」は、呼び方が違うだけで同じ職種を指します。
「ra 薬事」と並べて検索されるのは、両者が同一の業務を表しているからです。
その裏づけになるのが、業界団体による業務の整理です。
製薬協の薬事委員会は「申請薬事部会」と「薬事制度部会」の2部会で構成されています(出典: 日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
企業のなかで規制当局に対応する部門が、そのまま「薬事」と呼ばれていることが分かります。
英語表記のRegulatory Affairsも、この薬事業務を指す言葉です。
外資系企業やグローバル部門では「RA」、国内では「薬事」と表記されることが多いだけで、担う仕事の中身は変わりません。
求人でRAと薬事のどちらを見かけても、同じ職種として読み進めて問題ありません。
薬事はレギュラトリーサイエンスに基づく科学的専門職
薬事は、単なる事務手続きではなく、科学的な判断を伴う専門職です。
その土台になっているのが「レギュラトリーサイエンス」という考え方です。
レギュラトリーサイエンスは、第4次科学技術基本計画で「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」と定義されています(出典: 内閣府「第4次科学技術基本計画」(2011年)/PMDA「レギュラトリーサイエンスについて」)。
薬事の仕事は、この科学的な予測と評価を前提に成り立ちます。
承認申請の資料は、データを整えて出すだけでは通りません。
「この製品は品質・有効性・安全性の点で問題ない」と科学的な根拠で示す必要があるのです。
だからこそ薬事は、規制と科学の両方を扱う専門職として評価されます。
薬事(RA)は承認申請から審査対応までを担う
ここからは、薬事が医薬品開発のどこを担当するのかを具体的に見ていきます。
承認申請にあたって規制当局とどう向き合うかは、以下の動画でも実務者が解説しています。
薬事って、承認申請の書類を出したら終わり…なんですよね…!?
いいえ。申請してからが本番。審査に耐える中身を作るのが薬事の腕の見せどころなの。
薬事は承認申請から承認までの申請側を担当する
医薬品は、決まったプロセスを経て世に出ます。
厚生労働省の公式資料では、基礎研究、非臨床試験、治験、承認申請、承認審査、承認、市販後という流れで整理されています(出典: 厚生労働省「医薬品の基礎研究から承認審査、市販後までの主なプロセス」)。
このうち薬事が主戦場とするのが「承認申請」の段階です。
承認申請の段階で薬事が担う主な作業は、次のとおりです。
- 承認申請資料(申請書と添付資料)の作成
- PMDAによる承認審査への対応と、照会事項への回答
- 厚生労働大臣による承認までの手続きの管理
提出された資料は、総合機構(PMDA)による承認審査を経て、最終的に厚生労働大臣による承認へと進みます。
審査は、複数の専門分野の担当者による専門チームで行われます。
薬事は、この一連の流れの申請側に立つ役割です。
審査するPMDAや承認する大臣に対して、企業の代表として資料を整え、質問に答えます。
審査を受ける側の窓口を担う、それが薬事の立ち位置です。
薬事が相手にするPMDAの審査は信頼性調査・承認審査・製造能力調査
薬事が向き合うPMDAの承認審査業務は、大きく3つに分かれます。
どのような観点で見られるのかを、先に押さえておきましょう。
PMDAの承認審査業務は、次の3本柱で構成されています(出典: PMDA「承認審査業務(申請・審査等)」)。
- 信頼性調査=提出された申請資料の内容が倫理的かつ科学的に信頼できるかどうかを調査する
- 承認審査=信頼性調査の結果を踏まえ、製品の効果や副作用、品質を現在の科学技術水準に基づき審査する
- GMP/QMS/GCTP調査=申請された製品を製造できる能力を有するかどうかを調査する
薬事は、これら3つの調査・審査すべてに対応します。
資料の信頼性を問われれば根拠を示し、製造能力を問われれば製造部門と連携して答えます。
規制当局の3つの視点に耐える申請を組み立てること、これが薬事の中核業務です。
薬事は開発相談から市販後まで規制当局の窓口を担う
薬事の仕事は、承認申請の瞬間だけに限られません。
医薬品の開発初期から市販後まで、規制当局とのやり取りは続きます。
PMDAは2018年4月1日にレギュラトリーサイエンスセンター(RSセンター)を設置しました(出典: PMDA「レギュラトリーサイエンスセンターについて」)。
その目的は、開発時の相談から承認審査、安全対策まで一貫した支援を実現することにあります。
つまり規制当局側でも、開発の入り口から市販後までを通した相談・審査の体制が整えられています。
この体制に企業側で対応するのが薬事です。
開発の早い段階での相談、治験段階での協議、承認審査、そして市販後の安全対策と、各フェーズで規制当局の窓口になります。
薬事のキャリアは、開発初期から市販後まで一気通貫で関わる仕事です。
製品が研究室から患者に届くまでの全工程に携われるのが、薬事という職種の特徴です。
薬事の業務は申請薬事とCMC薬事に大きく分かれる
ひとくちに薬事といっても、内部では役割が分かれています。
代表的な区分が「申請薬事」と「CMC薬事」です。
CMC領域がなぜ難しいのかは、以下の動画でも詳しく語られています。
申請薬事とCMC薬事…! 名前が違うだけで、同じ仕事じゃないんですか…?
扱う相手が違うのよ。片方は審査、もう片方は製造と品質。そこを混ぜると現場で迷うわ。
申請薬事は承認申請・治験相談・審査対応を担う
申請薬事は、承認申請や規制当局との相談・審査対応を中心に担う領域です。
製薬協の薬事委員会では、この領域を「申請薬事部会」が担当しています。
申請薬事部会の重点課題は、審査・調査・相談プロセスの効率化や、患者への早期アクセスに貢献する施策提言などです(出典: 日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
実務の検討は、次のようなワーキンググループに分かれて進められています。
- 審査WG、治験相談WG、調査WG
- 添付文書WG、国際共同治験WG
これらの活動からは、申請薬事が申請資料の作成や審査プロセスへの対応、治験段階での相談を扱う領域だと読み取れます。
承認申請の入り口で規制当局と直接やり取りするのが、申請薬事の中心的な役割です。
CMC薬事は製造方法・品質・変更手続きを担う
CMC薬事は、製造方法や品質、その変更手続きを扱う領域です。
CMCはChemistry, Manufacturing and Control(化学・製造・品質管理)を指しますが、「CMC薬事」という語そのものの公的な定義文は確認できていないため、ここでは業務範囲から説明します。
対応する業務は、業界団体と規制当局の一次情報から整理できます。
製薬協の薬事制度部会は、承認書の記載、変更手続き、GMP調査を含む薬事制度の課題に取り組んでいます(出典: 日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
PMDAも、製造能力を確認するGMP/QMS/GCTP調査を承認審査業務のひとつとしています(出典: PMDA「承認審査業務(申請・審査等)」)。
ここまでの申請薬事とCMC薬事の違いを整理すると、次のようになります。
| 区分 | 主な業務範囲 |
|---|
| 申請薬事 | 承認申請、治験相談、審査・調査対応、申請資料の作成・見直し |
| CMC薬事 | 承認書の記載、製造方法・品質に関する変更手続き、GMP調査への対応 |
同じ薬事でも、向き合う相手が「審査」か「製造・品質」かで役割が分かれます。
自分が理系のどの知識を活かしたいかで、目指す領域を考えると整理しやすくなります。
薬事(RA)が専門職とされる理由は法的責任にある
薬事がAIや単純な事務作業に置き換わりにくいのはなぜか。
その理由を、法律の裏づけから見ていきます。
法的な責任を伴う専門職という位置づけは、以下の動画でも語られています。
この仕事、いずれAIに置き換わったりしないんでしょうか…!?
法律に基づく責任を負う仕事は、そう簡単には代われないの。データは嘘をつかないわ。
薬事は薬機法に基づく行政手続への対応業務
薬事の業務は、法律に根ざした行政手続への対応です。
法的な判断の重さこそ、専門職としての地位を支える土台。
厚生労働省は、医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保するため、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制を行っていると説明しています(出典: 厚生労働省「医薬品・医療機器」)。
薬機法が規制する範囲は、大きく次のように広がっています。
- 医薬品・医療機器などの製造
- 販売・流通
- 市販後の安全対策
薬事は、この薬機法という法律を根拠にした手続きに対応する仕事です。
法律に基づく手続きである以上、判断には責任が伴います。
書類の一字一句が製品の承認や安全性に関わり、誤りは承認の遅れに直結します。
規制の枠組みを理解し、法的な責任のもとで判断する必要があるため、薬事は代替されにくい専門職として位置づけられているのです。
「薬事申請」は公的職業情報にも記載される正式な業務
「薬事申請」は、公的な職業情報にも記載される正式な業務です。
求人サイトが作った俗称ではありません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag、日本版O-NET)には「薬学研究者」という職業があり、その業務として「医薬品の承認に必要な書類を作成し、申請する(薬事申請)」ことが明記されています(出典: 厚生労働省 job tag「薬学研究者」)。
公的な職業分類のなかに「薬事申請」という言葉が登場することが分かります。
なお、この「薬学研究者」の年収などの統計は、薬事職そのものの数値ではありません。
薬事職単独の公的な賃金統計は整備されていないため、ここでは金額には踏み込みません。
それでも、薬事申請が公的に認められた業務カテゴリであることは、この職種の専門性を裏づける材料になります。
薬事(RA)は治験・研究職の経験を活かして目指せる
最後に、どんな経歴の人が薬事を目指せるのかを整理します。
治験や研究の経験は、薬事への有力な足がかりになります。
治験の経験しかない僕でも…薬事って目指せるんでしょうか…!
むしろ近道よ、蓮くん。承認申請は治験の後工程。あなたの足元に道は続いているの。
治験(GCP)の後工程として薬事へ進むキャリアパス
薬事は、治験・臨床開発の経験者にとって進みやすいキャリアです。
医薬品開発の流れを思い出すと、その理由が見えてきます。
厚生労働省のプロセスでは、治験のあとに承認申請が続きます(出典: 厚生労働省「医薬品の基礎研究から承認審査、市販後までの主なプロセス」)。
承認申請は、治験の後工程にあたります。
治験でデータを積み上げる段階を知っている人は、その先の申請段階にも入りやすいのです。
たとえばCRA(臨床開発モニター)は、治験のモニタリングを担う職種です(出典: 厚生労働省 job tag「臨床開発モニター」)。
治験の現場でGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)に触れてきた経験は、承認申請の資料づくりでも活きます。
職種別に見ると、薬事へのルートは向いている領域まで含めて整理できます。
- CRA(臨床開発モニター)→申請薬事:治験データを読み解いた経験が、承認申請の資料作成に活きる
- 薬剤師→申請薬事:薬機法や薬学の知識が、申請業務に直結する
- 非臨床研究職→CMC薬事:製造・品質領域の専門性が、CMC薬事で活きる
臨床開発から薬事へと進むルートは、業界のなかで自然なキャリアの流れのひとつです。
自分の経歴が申請薬事とCMC薬事のどちらに近いかを考えると、目指す先が絞りやすくなります。
薬学・理系の知識と申請文書の作成力が求められる
薬事を目指すうえで求められる素養は、業務内容から一般化できます。
規制の理解、理系の基礎、文書作成力が柱になります。
薬事に必要とされる主な素養は、次のとおりです。
- 薬機法やレギュラトリーサイエンスなど、規制の枠組みへの理解
- 医学・薬学・生物・化学など、製品を評価する理系の基礎知識
- 承認申請資料を正確に作成・整理する文書作成力
- PMDAなど規制当局と対話し、社内の各部門と調整する力
これらは、薬剤師や臨床検査技師、理系研究職などで培った経験と重なります。
研究や治験で扱ってきた専門知識に、規制の理解と申請文書の作成力を積み上げていくイメージです。
今の経歴と照らし合わせて、足りない要素をひとつずつ補っていく道筋が描けます。
規制って壁じゃなくて、患者さんに安全に薬を届けるための順路なんですね…!
なかなか核心をついた理解ね、蓮くん。その視点が、薬事に向いている人の思考回路よ。
FAQ(よくある質問)
- 薬事とRA(Regulatory Affairs)は違う職種ですか?
-
同じ職種を指します。
RA=Regulatory Affairs(規制対応業務)の日本語での呼び方が「薬事」です。
規制当局側ではPMDAが承認審査業務を担い、企業側では製薬協の薬事委員会が薬事業務を整理しています(出典: PMDA「承認審査業務(申請・審査等)」/日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
求人でRAと薬事のどちらを見ても、同じ仕事だと考えて問題ありません。
- 申請薬事とCMC薬事の違いは何ですか?
-
扱う業務範囲が異なります。
申請薬事は、承認申請・治験相談・審査対応などを担います(出典: 日本製薬工業協会「薬事委員会」)。
CMC薬事は、承認書の記載や製造方法・品質の変更手続き、GMP調査への対応などを担います。
なお「CMC薬事」という語そのものの公的な定義は確認できていないため、ここでは業務範囲での整理にとどめます。
- 薬事の仕事はAIに代替されますか?
-
代替されにくい仕事です。
薬機法に基づく行政手続への対応であり、法的な責任が伴うからです。
厚生労働省も、薬機法に基づいて製造から市販後まで一貫した規制を行っていると説明しています(出典: 厚生労働省「医薬品・医療機器」)。
法律を根拠に判断する業務であるほど、人が責任を負う必要が残ります。
まとめ 薬事(RA)の意味と目指し方
先生、RAと薬事が同じで、しかも治験の後工程だって分かって、少し自信が出てきました…!
いい傾向よ、蓮くん。あとは自分の経歴をどう活かすか。
Regulatory Affairs(RA)は、日本語の「薬事」と同じ職種で、医薬品などの規制に対応する業務を指します。
その土台にはレギュラトリーサイエンスという科学があり、単なる事務手続きではなく科学的な判断を伴う専門職です。
仕事の中身は、承認申請から審査対応まで、規制当局の窓口を担うことにあります。
業務は申請薬事とCMC薬事に大きく分かれ、薬機法という法律に基づく行政手続への対応として、法的責任が伴う点が特徴です。
だからこそ、AIや単純作業には置き換わりにくい専門性を保っています。
そして薬事は、治験・臨床開発や理系研究の経験を活かして目指せる職種です。
承認申請は治験の後工程にあたり、GCPや理系の知識、申請文書の作成力が武器になります。